以前、自動車保険の基礎知識を紹介しました。
今回は自転車保険の話になります。
車の場合、購入したら当たり前に自動車保険に入ります。
自転車の場合、購入したら防犯登録などはするかもしれませんが、保険という認識を持っている人は少ないと思います。
このところ、自転車保険の加入が義務化が広がっているので、その現状を紹介したいと思います。
自転車保有台数は増加傾向!?
- 通学
- 通勤
- 買い物
- 運動
- ビジネス利用(営業)
などのために自転車を利用する人が年々増えています。
1980年の自転車保有台数は約5千万台、1990年が約6千万台、2011年には約7千万台と年々増えています。
2017年5月には自転車の活用を総合的かつ計画的に推進する「自転車活用推進法(PDF)」まで施行されました。
増え続けている自転車保有台数は、今後も増え続けると予想できます。
レンタルサイクルも増えていますし、台数が増えれば自転車事故は増えますよね。
そこで各自治体では、万が一に備えての「自転車保険の加入義務」を検討し始めているのです。
未加入の場合、イコール条例違反となるため注意が必要です。
自転車保険の加入を義務化している地域
加入を義務化している自治体は、以下の8地域です(2018年4月時点)。
加入義務化
該当する地域にお住まいの方は、条例に従って自転車保険に入っておかなければいけません。
- 兵庫県(2015年10月から)
- 大阪府(2016年7月から)
- 滋賀県(2016年10月から)
- 愛知県名古屋市(2017年10月から)
- 鹿児島県(2017年10月から)
- 埼玉県(2018年4月1日から)
- 京都府(2018年4月1日から)
- 石川県金沢市(2018年4月1日から)
「未加入=条例違反」となりますが、必ずしも罰則を受けるわけではないです。
For Example 2018年7月時点で、埼玉県は「自転車保険への加入を義務化しましたが、罰則は設けておりません」と発表しています。
また該当地域にお住まいではなくても、義務化地域を走行する時は「保険加入義務の対象となるケース」もあります。
今後、加入義務違反の取り締まりが強化されれば、知らなかったという言い訳も通用しなくなるでしょう。
加入努力義務
ちなみに以下の9地域は、加入を「努力義務」としています。
- 千葉県
- 東京都
- 群馬県
- 鳥取県
- 愛媛県
- 徳島県
- 香川県
- 福岡県
- 熊本県
早々に義務化する地域もあるでしょうから、覚えておいて損は無いはずです。
自転車保険に加入していないと人生が終わる?
自転車事故の問題点は、自動車とは違い「危険な乗り方」をする人が多く、「未成年」でも加害者になることです。
そして、あなたが想像している以上の賠償額を命じられるのです。
賠償額9,521万円
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。( 神戸地方裁判所、平成25年7月4日判決)
賠償額9,266万円
男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所、平成20年6月5日判決)
賠償額6,779万円
男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成15年9月30日判決)
賠償額5,438万円
男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成19年4月11日判決)
賠償額5,000万円
女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の看護師(57歳)の女性と衝突。看護師には重大な障害(手足がしびれて歩行が困難)が残った。(横浜地方裁判所、平成17年11月25日判決)
自転車は自動車よりも弱い存在で、事故が起きる原因には被害者の注意不足もあるだろうから、賠償額は高くても100万円くらいだと思っていませんでしたか?
しかも学生にまで数千万円規模の賠償額が命じられるため、判決次第では辛い人生しか待っていません。
こうした自転車事故に備えるため、自転車保険はあるのです。
自転車保険に加入していない人は、改めて保険の重要性を考えてみましょう。
賠償金だけですまないことも
スマートフォンを操作しながら、電動自転車に乗り、衝突した女性を死亡させた罪に問われている元女子大生に、検察側は禁錮2年を求刑し即日結審した。
森野実空被告は2017年12月、神奈川・川崎市麻生区で、両手にハンドルを沿えた状態で右手に飲み物、左手でスマホを持ち、耳にイヤホンをしながら電動自転車に乗り、前を歩いていた米沢晶子さんに衝突して死亡させ、重過失致死の罪に問われている。
自転車保険の選び方
自転車保険では、以下の5つが大切なポイントとなります。
特約などのオプションを考える前に、まずは基本となる5つの条件から商品を選びましょう。
個人賠償責任補償額
前述した判例から、最大1億円まで支払われる商品を選ぶと安心です。大手保険会社の中には、2億円まで支払われる商品すらあります。
示談交渉サービス
事故を起こせば被害者や加害者と話し合わなければいけません。その作業を保険会社側が代行してくれます。時間や労力を省けるのです。
弁護士費用の補償
自転車同士の事故、自動車との事故に遭えば、過失割合から賠償請求ができます。その作業を弁護士があなたの代わりにやってくれます。
傷害補償額
ご自身に対する入院給付金や死亡保険金の支払額です。医療保険や死亡保険に加入している人は、合計でいくら受け取れるのかで検討しましょう。
保険適用の対象者数
自転車保険のプランによって、「本人型」「夫婦型」「家族型」と対象者を選べます。70歳以上のシニアプランもありますので、加入者の範囲を決めましょう。
自転車保険で迷ったら専門店に頼ろう
自転車保険に加入する方法は、主に2種類です。
- 自転車屋
- 保険の無料相談窓口
1つは自転車を購入した店舗に行き、その場で契約する方法となります。
ただし、自転車屋オリジナルの保険だと手厚い補償には期待できないでしょう。
もう1つは、保険会社に直接申し込む方法です。
補償内容や料金、仕組みに疑問があれば、複数の保険商品を扱う代理店(無料相談窓口)に相談しましょう。
インターネット上から問い合わせることもできますし、最近では商店街に事務所を構えていたりします。
買い物の途中で立ち寄ってみると良いです。
また余計なオプションを付けなければ、本人型自転車保険は年間1,000円から2,000円で入れます。
一般的な保険よりも値段は安いので、事故を起こす前に加入を検討してみてはどうでしょうか?